【後転で手がつけない】「手で押して!」では直らない本当の理由
「後転で、どうしても手がつけないんです」
「背中までは転がれるのに、そこから先に進まない」
「手で押して!と言っても、全然押せない」
そんなお悩みはありませんか?
前転はできる。
後ろへ転がることもできる。
なのに、後転だけが完成しない。
そんな子に対して、よく聞くアドバイスがあります。
「もっと手で押して!」
でも、ちょっと待ってください。
そもそも、その子は本当に「手で押せる状態」になっていますか?
実は、後転で手が使えない子の中には、腕の力が足りないのではなく、手を使うための準備ができていない子がいます。
どんなに腕の力が強くても、手をつく位置やタイミングが合っていなければ、身体をうまく支えることはできません。
今回は、後転が苦手な子の「手の使い方」を分解して、家庭でできる練習を1つ紹介します。

1. 後転で手がつけない子に起きていること
まず、後転の動きを想像してみてください。
しゃがんだ姿勢から後ろへ転がり、背中がマットにつく。
そのまま腰が持ち上がり、足が頭の向こうへ移動していく。
このとき、頭の横に置いた両手でマットを押して、頭や首への負担を減らしながら身体を回転させます。
ところが、後転が苦手な子は、この場面で次のような動きをすることがあります。
手を床につくのが遅い
手のひらが上を向いたままになっている
肘が外側へ大きく開いてしまう
手が頭から離れた場所にある
頭がマットについた後に、慌てて手を動かす
こうなると、身体が回転してきたときに、手でマットを押す準備ができていません。
その結果、頭や首に負担がかかったり、途中で回転が止まったりします。
ここで「もっと強く押して!」と言われても、子どもは困ってしまいます。
なぜなら、押す力を出す以前に、押せる位置に手がないからです。
2. 後転で大切なのは「手の位置」と「準備するタイミング」
後転では、腕の力も必要です。
しかし、腕力だけで後転ができるわけではありません。
例えば、重たいドアを押す場面を想像してください。
ドアの正面に立ち、両手をしっかり当てれば、力を伝えやすいですよね。
でも、身体の後ろに手を回して押そうとしたらどうでしょう?
同じ腕力でも、うまく押せません。
後転も似ています。
力を出す方向と、手を置く位置が合っていること。
これが重要です。
さらに、後転にはタイミングがあります。
身体が頭の上を通過しようとした瞬間に、慌てて手を準備しても間に合いません。
そのため、後ろへ転がる前から、手を耳の横に構えておくことが大切です。
つまり、後転で手を使うためには、
「正しい位置に、正しい向きで、先に準備する」
という動作が必要なのです。
3. 家でできる練習は「耳の横で手のひらセットゲーム」
今回も、紹介する練習は1つだけです。
後転そのものを繰り返す必要はありません。
まずは、手をつくための形を覚えましょう。
耳の横で手のひらセットゲーム
目的:後転でマットを押すための手の位置と向きを覚える
やり方
① マットの上に座り、膝を軽く曲げます。
② 両手を耳の横に持っていきます。
③ 手のひらを天井方向へ向け、指先は肩の方を向くようにします。
④ 肘を極端に外へ開かず、左右の手を頭の近くに保ちます。
⑤ そのまま仰向けになり、手のひらを耳の横で床につける位置を確認します。
⑥ 手を離して最初の姿勢に戻り、同じ動きを5回ほど繰り返します。
これだけです。
この練習では、実際に後転したり、頭を床で支えたりする必要はありません。
手をどこに準備すればいいのか、身体で覚えることが目的です。
親御さんが見るポイント
見るところは3つです。
① 手が耳の横にあるか
手が頭から大きく離れていないか確認します。
② 手のひらの向きが合っているか
後転で床を押せるように、手のひらと指先の向きを確認します。
③ 左右の手が同じように動いているか
片方だけ遅れたり、極端に離れたりしていないかを見ます。
なお、手首や肩に痛みが出る場合は無理に続けないでください。
4. 「手の位置」が分かると何が変わるのか?
例えば、こんな子がいたとします。
後ろへ転がるところまではできる。
でも、手をつこうとすると、いつも手のひらが頭から離れてしまう。
そこで大人が、
「もっと押して!」
と声をかける。
でも、本人は何を変えればいいのか分かりません。
ここで練習を変えます。
後転はいったんやめて、耳の横に手をセットする練習だけを行います。
すると、
「あ、手はここに置くんだ」
と理解できるかもしれません。
そして実際の後転に戻ったとき、以前より早く手を準備できるようになる可能性があります。
もちろん、手の位置が分かっただけで必ず後転が完成するわけではありません。
しかし、「何をすればいいか分からない」状態から、「何を準備すればいいか分かる」状態へ変わることには、大きな意味があります。
5. 後転で手が使えない子にやってはいけないこと
後転ができない子に対して、特に注意してほしいことがあります。
それは、頭や首に体重がかかっている状態で、無理やり回そうとすることです。
例えば、
「あと少しだから!」
と足を持ち上げる。
「勢いをつければ回れる!」
と強く後ろへ倒す。
「手で押せば大丈夫!」
と何度も繰り返させる。
こうした練習は、首に負担が集中する危険があります。
後転は、身体を逆さまにして回転する運動です。
そのため、家庭では今回のような手の準備練習にとどめ、実際の後転は適切なマットと安全補助がある環境で行うことをおすすめします。
痛み、しびれ、めまいなどが出た場合はすぐに中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
6. 教室では「手で押せない」をさらに分解します
体育の家庭教師では、後転ができない子に対して、単純に「腕力が弱い」と判断することはしません。
例えば、手で押せない原因にも違いがあります。
手の位置が分からない子。
手のひらの向きが違う子。
肘が大きく開いてしまう子。
手を準備するタイミングが遅い子。
手は正しくつけているけれど、身体を押し上げる力をうまく使えない子。
見た目はすべて「手で押せない」です。
しかし、原因が違えば、必要な練習も変わります。
ここが重要です。
同じ後転ができない子でも、同じ練習が正解とは限りません。
だから僕は、まず子どもの動きを細かく見ます。
どこまでできているのか。
どの瞬間に動きが崩れているのか。
何を変えれば次の動きにつながるのか。
そこを分析して、その子に合った練習を選びます。
7. 「できない」を分解すると、子どもの表情が変わる
子どもが運動を嫌いになる理由の1つは、何度やっても成功できないことです。
特に後転のような技では、何が間違っているのか自分では分かりにくいものです。
そこで大人が、
「もっと頑張って!」
「ちゃんと手をついて!」
と言い続ける。
でも子どもからすれば、
「ちゃんとやってるのに!」
となります。
この状態が続くと、運動そのものが嫌になってしまいます。
だからこそ、できない動きを小さく分解することが大切です。
例えば、後転が完成していなくても、
「さっきより手を早く準備できたね」
「今の手の位置、いいね」
「左右の手が同じように動いたね」
という小さな変化は見つけられます。
完成した技だけを評価するのではなく、上達につながる変化を見つける。
これが、子どもの自信を育てる指導だと考えています。
8. 体育の家庭教師のご案内
「後転ができなくて、体育の授業が嫌になっている」
「家で練習しても、どこを直せばいいのか分からない」
「何度も失敗して、本人が自信をなくしている」
そんなお悩みがあれば、一度スタジオえるそるの「体育の家庭教師」をご検討ください。
僕が大切にしているのは、単に技を完成させることではありません。
「できない原因を見つけて、その子が理解できる練習に変えること」です。
後転なら、
後ろへ転がる感覚。
身体を丸める感覚。
手をつく位置。
腕で押す方向。
回転するタイミング。
こうした動きを細かく分析して、必要なところから練習します。
できないことを何度も繰り返すのではなく、今できる動きを積み重ねていく。
その過程で、
「これならできる!」
「もう一回やってみたい!」
という気持ちを育てていきます。
体育が苦手な子に必要なのは、練習量を増やすことだけではありません。
その子に合った練習を見つけることです。
▶ 体育の家庭教師の詳細・お問い合わせはこちら
まとめ|後転で手が使えないなら、まず「押す前」を見よう
後転ができない子に、
「もっと手で押して!」
と何度言っても変わらない。
そんなときは、一度考えてみてください。
そもそも、手で押せる位置に手が準備できていますか?
後転で手を使うには、腕の力だけでなく、手の位置・向き・タイミングが重要です。
まずは家で「耳の横で手のひらセットゲーム」をやってみましょう。
後転を完成させる必要はありません。
今日、手の位置が分かった。
昨日よりスムーズに準備できた。
それだけでも、立派な前進です。
「できない」を小さく分解すれば、「できる」はもっと見つかります。
それが、体育を苦手から得意へ変えていく第一歩です。





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