縄跳びを嫌がる子に「逃げるな」は大人の自己満足です|練習させるほど苦手になる本当の理由
- elsol えるそる

- 7 日前
- 読了時間: 12分
縄跳びを嫌がる子に、
「苦手だからって逃げるな」
「みんなも頑張っている」
「できるまで練習しなさい」
そう言って、無理に縄を持たせる。
はっきり言います。
それは教育ではありません。
大人が納得するまで、子どもに失敗を公開させ続けているだけです。
縄跳びは、失敗が非常に目立つ運動です。
跳べた回数は数字で数えられる。
失敗すれば縄が足に当たる。
床には「バチン」という音が響く。
途中で止まれば、周りの子にもすぐ分かる。
できる子は二十回、三十回と続いている。
自分は一回で止まる。
その差を、本人は毎回見せつけられます。
それでも大人は言います。
「回数を気にしないで」
無理です。
周りが数えている。
先生が数えている。
本人も数えている。
縄跳びは、できる子とできない子の差を、数字と音で公開する運動です。
そんな環境で何度も失敗すれば、
「縄跳びが嫌い」
になるのは当然です。
やる気がないから逃げているのではありません。
これ以上、自分ができないことを見られたくないのです。
これ以上、失敗した音を聞きたくないのです。
これ以上、「またできなかった」と感じたくないのです。
それなのに、
「もっと練習すればできる」
と、失敗の回数だけを増やす。
原因を直さずに練習量を増やせば、上達するとは限りません。
できない経験だけが積み重なり、
「縄跳びが苦手」から、
「運動が苦手」
「体育が嫌い」
「自分は運動ができない」
へと広がっていくことがあります。
縄跳びを嫌がる子に必要なのは、根性でも説教でもありません。
失敗し続ける練習を一度止めることです。
そして、何ができていないのかを分解し、成功できる条件まで難易度を下げることです。
この記事では、縄跳びを嫌がる子の中で何が起きているのか、なぜ練習させるほど苦手意識が強くなることがあるのか、そして、もう一度挑戦できる状態をどう作るのかを解説します。

縄跳びが嫌いになるのは「面倒だから」ではない
子どもが縄跳びを嫌がると、大人は行動だけを見ます。
練習しようとしない。
縄を持ちたがらない。
すぐに休もうとする。
「今日はやらない」と言う。
その様子を見て、
「面倒くさがっている」
「根気がない」
「すぐ諦める性格だ」
と判断してしまうことがあります。
しかし、子どもの中では別のことが起きています。
また失敗するかもしれない。
また足に縄が当たるかもしれない。
また周りに見られるかもしれない。
また「何回跳べた?」と聞かれるかもしれない。
つまり、縄跳びを避けているのではありません。
失敗したときに感じる恥ずかしさ、痛さ、悔しさから自分を守っているのです。
これは怠けではありません。
防御反応です。
縄跳びは「できない」が隠せない
体育には、苦手でも目立ちにくい運動があります。
走り方が少しぎこちなくても、全員が同時に走れば細かいフォームは目立ちません。
ボール運動でも、試合中ならボールに触らずに終わることがあります。
しかし、縄跳びは違います。
一人で跳ぶ。
回数を数える。
引っかかった瞬間に止まる。
失敗すれば音が鳴る。
できたかどうかが、非常に分かりやすい運動です。
一回しか跳べない子の横で、別の子は三十回跳ぶ。
本人が比較したくなくても、数字が勝手に比較を作ります。
「三十回できた」
「私は一回だった」
この差は、子どもにとって強烈です。
特に、何度練習しても回数が増えない状態が続くと、
「自分は頑張ってもできない」
という認識が生まれます。
苦手意識が強くなるのは、失敗したからだけではありません。
努力しても変わらない経験を繰り返すからです。
「できるまでやる」が危険な理由
「できるまでやる」
努力や継続を教える言葉としては、正しそうに聞こえます。
しかし、原因が直っていない状態では危険です。
縄を腕全体で回している。
縄が来てから跳ぼうとしている。
着地するたびに止まっている。
ジャンプの高さが毎回違う。
この状態のまま百回練習すれば、百回分の失敗が増えます。
成功へ近づいているのではありません。
失敗する動きが身体に定着していきます。
さらに、子どもの中には、
「頑張ったのにできなかった」
という記憶が残ります。
これが続くと、
「練習すればできる」
ではなく、
「練習してもできない」
と学習します。
そして、練習そのものを嫌がるようになります。
問題は、努力できないことではありません。
努力しても成功できない方法を続けさせていることです。
回数を数えることが、子どもを追い込む場合がある
縄跳びでは、回数を数えることが当たり前になっています。
十回跳ぼう。
昨日より一回増やそう。
クラス全員で記録を伸ばそう。
目標が数字で見えることは、できる子には有効です。
一回増えるたびに達成感を得られます。
しかし、ほとんど跳べない子にとっては違います。
毎回、一回。
何度やっても、一回。
隣の子は十回、二十回。
数字が、成長の記録ではなく、できない証明になります。
この状態で、
「今日は何回跳べた?」
と毎回聞かれると、子どもは評価されていると感じます。
保護者や指導者に悪気はなくても、
「また一回だった」
という事実を本人に再確認させることになります。
できない段階では、回数を目標にしない方がよい場合があります。
同じリズムで三回ジャンプできた。
縄を同じ位置へ回せた。
足に当たらず一回通せた。
昨日よりも縄の音を聞けた。
回数ではなく、動きの変化を見る必要があります。
縄が足に当たる音が「失敗の合図」になる
縄跳びが苦手な子にとって、床や足に縄が当たる音はただの音ではありません。
「また失敗した」
と分かる合図です。
一回失敗するたびに、
バチン。
もう一回。
バチン。
また失敗。
バチン。
この音が繰り返されます。
周りの子にも聞こえます。
本人にも強く残ります。
縄が足に当たれば、痛みを感じることもあります。
音、痛み、恥ずかしさが同時に起きる。
これが積み重なると、縄を回す前から身体が固まります。
足に当たらないように高く跳ぶ。
膝を大きく抱える。
縄が来るたびに止まる。
恐怖によって動きが崩れ、さらに引っかかりやすくなる。
最初は技術的なズレだったものが、失敗を繰り返すことで心理的な問題へ変わっていきます。
「みんなできている」は最も言ってはいけない言葉の一つ
縄跳びができない子に、
「みんなできているよ」
「クラスでできないのは、あと少しだよ」
「お友達は練習してできるようになったよ」
と伝える。
励ましているつもりかもしれません。
しかし、子どもにはこう聞こえることがあります。
「自分だけできない」
「自分はみんなより遅れている」
「できない自分はダメだ」
比較は、できるようになる方法を教えてくれません。
隣の子が三十回跳べることを知っても、自分の縄の回し方は直りません。
クラスの平均回数を聞いても、ジャンプのタイミングは分かりません。
必要なのは比較ではなく分析です。
その子は何ができているのか。
どこから動きがズレているのか。
何を一つ直せば成功に近づくのか。
他人との差ではなく、自分の動きの変化を見る必要があります。
苦手意識は縄跳びだけで終わらない
縄跳びで失敗を繰り返した子が、嫌いになるのは縄跳びだけとは限りません。
「自分は縄跳びが苦手」
から、
「自分は体育が苦手」
へ広がることがあります。
さらに、
「運動はできない」
「人前で挑戦したくない」
「失敗するくらいなら、最初からやらない」
という考えにつながる場合もあります。
問題は、一つの技ができないことではありません。
できない経験によって、挑戦することそのものを避けるようになることです。
縄跳びをできるようにすることも大切です。
しかし、それ以上に、
「失敗しても、やり方を変えればできる」
という経験を作ることが重要です。
いったん縄跳びをやめることが、上達への近道になる
縄跳びを嫌がっている子に対して、
「嫌でも続けなければ克服できない」
と考える人もいます。
しかし、失敗の状態が続いているなら、一度縄跳びをやめることが有効です。
縄を持たずにジャンプする。
床に置いた縄をまたぐ。
片手で縄を回し、音だけを聞く。
縄を一回だけ回して止める。
できる動きまで戻ります。
これは逃げではありません。
成功できる条件を作り直しているのです。
難易度を下げると、子どもは失敗しにくくなります。
失敗が減れば、身体の力みも減ります。
少しできた。
昨日より分かった。
今の動きは怖くなかった。
この経験が、もう一度挑戦する気持ちを作ります。
成功体験は「簡単なことを褒める」だけではない
成功体験というと、
簡単な課題をやらせて、何でも褒めればよいと思われることがあります。
しかし、大切なのは、本人が自分の変化を感じることです。
さっきは縄が足に当たった。
今は一回通った。
さっきは着地で止まった。
今は二回続いた。
さっきは腕を大きく回していた。
今は小さく回せた。
何が変わったのかを具体的に伝えます。
「すごいね」だけではなく、
「今は縄が同じ場所を通ったね」
「着地してすぐ次に跳べたね」
「縄が来る前に身体が浮いていたね」
と、成功した理由を言葉にします。
子どもが、
「こうすればできる」
と理解すると、成功を自分で再現できるようになります。
縄跳びを再開する前に確認したいこと
縄跳びを嫌がる子へ、すぐに連続跳びをさせる必要はありません。
まず、次の状態を確認します。
縄を持たずに一定のリズムで跳べるか。
縄を同じ位置へ回せるか。
縄の音を聞いてタイミングを予測できるか。
一回跳べたあと、表情が固まっていないか。
失敗しても、もう一度やってみようと思えているか。
技術だけでなく、気持ちの状態も見ます。
身体が固まっている。
縄を持つだけで嫌がる。
失敗すると泣いてしまう。
この状態なら、さらに難易度を下げる必要があります。
今できる場所から始めることが重要です。
子どもが「もう一回やる」と言える環境を作る
運動指導で大切なのは、子どもを無理に続けさせることではありません。
自分から、
「もう一回やってみる」
と思える状態を作ることです。
そのためには、成功する可能性が必要です。
何度やっても失敗する練習では、挑戦したいとは思えません。
一つ直せばできそう。
さっきより良くなった。
次は成功するかもしれない。
そう感じられる課題を設定します。
挑戦する気持ちは、説教では作れません。
成功できる設計によって生まれます。
「縄跳びが嫌い」は、その子からの重要な情報
子どもが、
「縄跳びが嫌い」
と言ったとき、
すぐに否定しないでください。
「そんなこと言わないで」
「やれば楽しくなる」
「嫌いでもやらなきゃダメ」
と返す前に、その言葉の中身を確認します。
何が嫌なのか。
足に当たるのが痛いのか。
周りに見られるのが恥ずかしいのか。
回数を比べられるのが嫌なのか。
何度やってもできないことがつらいのか。
嫌いという言葉は、問題の場所を教えてくれています。
技術の問題かもしれません。
環境の問題かもしれません。
比較の問題かもしれません。
恐怖の問題かもしれません。
理由が分かれば、対応も変わります。
練習を続けるべきとき、止めるべきとき
少し失敗しただけで、すぐに練習をやめる必要はありません。
しかし、次のような状態が続く場合は、方法を見直すべきです。
同じ失敗を何度も繰り返している。
声かけを増やすほど混乱している。
表情が固まり、動きが小さくなっている。
縄を持つ前から嫌がっている。
失敗するたびに自分を責めている。
この状態で回数を増やしても、上達より苦手意識が強くなる可能性があります。
一度止める。
原因を確認する。
課題を小さくする。
成功してから次へ進む。
これも立派な練習です。
縄跳びが嫌いなのは、根性がないからではない
縄跳びを嫌がる子は、根性がないわけではありません。
失敗が続く方法を避けているだけです。
何が悪いか分からない。
何を直せばいいか分からない。
練習しても同じ場所に引っかかる。
その状態で、
「もっと頑張れ」
と言われても、頑張る方向が分かりません。
必要なのは努力を増やすことではありません。
努力が結果につながる道筋を作ることです。
縄跳びを嫌いから「できそう」に変えるために
縄跳びへの苦手意識を変えるためには、次の順番が大切です。
まず、嫌がっている理由を確認する。
次に、失敗している動きを分解する。
成功できる難易度まで戻す。
小さな変化を本人と一緒に確認する。
最後に、少しずつ縄跳びへ戻す。
いきなり連続回数を求めない。
他の子と比較しない。
できない動きを何十回も繰り返させない。
この三つを守るだけでも、子どもの反応は変わります。
お子さんが縄跳びを嫌がっている方へ
ここまで読んで、
「最近、縄跳びの練習を嫌がるようになった」
「できないから、もっと練習させなければと思っていた」
「失敗を増やしていたかもしれない」
と感じた方へ。
まずは、練習回数を増やす前に、何がつらいのかを確認してください。
技術が分からないのか。
縄が当たるのが怖いのか。
周囲との比較がつらいのか。
同じ「嫌い」でも、原因は異なります。
スタジオえるそるでは、子どもの運動を「できた・できない」だけで判断しません。
動きのズレと、子どもが感じている怖さや恥ずかしさの両方を確認し、その子に合った段階から練習を組み立てます。
まずは体育や運動に関する情報を受け取りたい方は、LINEへご登録ください。
「何度やってもできず、練習自体を嫌がっている」
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「その子に合った直し方を直接見てほしい」
という方は、個別レッスンへご参加ください。
縄跳びを嫌がる子に必要なのは、逃げない根性ではありません。
もう一度挑戦しても大丈夫だと思える環境です。
できない経験を増やすのではなく、
「やり方を変えたらできた」
という経験を作る。
その一回が、縄跳びだけでなく、運動への向き合い方まで変えていきます。



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