【物語連載②】笑われたくない…子どもが“勇気を出した日”の話
- elsol えるそる

- 3月9日
- 読了時間: 3分
※3話集中連載第2回
失敗した過去の記憶で動けない
ユウは、跳び箱の前に立つと、身体が固まる。
目の前にあるのは、たった4段の跳び箱。でも、ユウの頭の中には、ずっと前の記憶が浮かんでいた。
助走して、踏み切って、手をついた瞬間に力が抜けて――落ちた。
「大丈夫?」先生の声。クラスのざわつき。
誰も笑っていなかった。でもユウの中では、その場面が何度も再生されていた。
“また失敗したらどうしよう”
その思いが、身体を前に出させなかった。
友達の目が怖い
体育の時間、ユウはいつも後ろの方に並ぶ。
できるだけ目立たないように。できるだけ呼ばれないように。
友達は悪くない。でも――
できないところを見られたくない
変な空気になるのが嫌
「やっぱりね」と思われたくない
そんな気持ちが、胸の奥でぐるぐる回る。
ユウは、運動が嫌いなのではなく、“自分がどう見えるか”が怖かった。
小さな成功体験の設計(遊び運動)
その日の帰り、家に着くと、お母さんが言った。
「ねえ、ちょっと変なゲームやらない?」
お母さんは、床にクッションを一つ置いた。
「これをまたぐだけ。跳ばなくていいよ」
走らなくていい。誰も見ていない。失敗も、成功も、特にない。
ユウは、そっとまたいだ。
「お、今の静かだったね」
それだけ。
次は少し離して、その次は、ちょっとだけ助走をつけて。
気づいたら、ユウは“動いていた”。
「できた!」より大事なもの
その日、ユウは跳び箱を跳べるようになったわけじゃない。
でも、
逃げなかった
身体を前に出した
自分でやってみようと思った
それだけで、十分だった。
お母さんは、「できたね!」とは言わなかった。
代わりに、こう言った。
「さっき、ちょっと怖そうだったけど、 ちゃんと動いたね」
ユウは、胸の奥がじんわりあたたかくなるのを感じた。
親の一言で子どもが救われる
夜、布団に入る前。ユウがぽつっと言った。
「今日の体育、 ちょっとだけ前に出られた」
お母さんは、少し考えてから答えた。
「それ、すごいことだよ」
褒めすぎでもなく、軽すぎでもなく。
“分かってもらえた”ユウは、そう感じた。
勇気は、「できた!」の瞬間ではなく、誰かがちゃんと見てくれた時に生まれる。

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失敗が怖くて動けない
見られるのがつらい
頑張りたい気持ちはある
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まとめ
子どもが動けない時、それは怠けているからではありません。
怖かっただけ
傷つきたくなかっただけ
勇気は、結果から生まれるのではなく、理解された瞬間に芽生えます。
この物語のユウは、まだ大きな成功をしていません。
でも、逃げずに立った。
それだけで、もう一歩前に進んでいます。




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